頭の回転が遅いと言われる人がいる。
別の角度から見れば、言語化をするのが苦手なのだろう。思った言葉をうまく言葉にできない。大量の情報を構造化できない。同じことを逡巡する。
日常でもこういう人に出会うことがある。自分の場合は特に、効率的に意思決定をしたい会議などで、全体像を構築する際の滞りや情報伝達の滞りに敏感に反応する。
しかし、「人は本来皆頭がいい」という主張もあるようだ。例えば『ゼロ秒思考』の著者として知られる赤羽さんは、その思想に基づいて、思い浮かんだことをA4用紙に書き出す習慣を提案している。多くの人が実践し、成果を感じている。
アリゾナ大学やケンブリッジ大学の研究では、人は1日に約16,000語の単語を使用し、35,000回の決断をしているそうだ。そう考えると無意識にすごいことをやっている。
『ゼロ秒思考』を読んで以来、自分も習慣的に頭の中を書き出すようになった。
ゼロ秒思考のA4書き出し
- A4のコピー用紙(白紙)を横置きにおく
- 1つの項目に1枚使う
- 左上に大きくタイトルを書いて、右上に日付を書く
- 内容は1枚に4〜6行、各行20〜30字程度の文字数で書く
- 1枚を1分以内に書き終える
- 毎日10ページ書く
1枚を1分以内に完成させるので、10枚書いても10分程度で終わる。例えば、昔こんなことを書いた。
思い浮かんだことを吟味せずにとにかく書き出す。
1日に約16,000語の単語を使用していても、浮かんでは消える不安と具体性のない欲望を題材としていたのでは、脳力の浪費だとも言えよう。
書き出すことで、脳内で暴れ回る猿を追い出し、意味のあることに頭を使えるようになる。
メモリーを解放する「やらないことリスト」
浮かんでは消えて、脳の容量を無駄に奪うもう一つの代表格は残タスクだろう。本も読みたい、資格の勉強もしたい、AI関連の情報も読みたい、英語も勉強したい。
どれもやりたいが、どれも手つけていない。
誰でもそんな状態になるタイミングがあるだろう。これは脳の容量を無駄にするだけでなく、さらに罪悪感まで感じて、気分が落ち込む。わざわざ自分で自分の能力を下げているようなものだ。
やることリストを書き出す習慣もいいが、やらないことリストを書き出す効果も大きい。
向こう3ヶ月はやらいないと決めて、ここに書き出してしまえば、一旦は忘れることができる。今やることに集中して3ヶ月程度過ごして、リストを見直せばいい。
感情を吐き出す「3行日記」
人々はまるでゴミ収集車のようだ。
日々の生活で悲哀、失望、憤怒など、ゴミをためる。そして心の容量がいっぱいになれば、どこかにそれを捨てたい、発散したいという衝動に駆られる。八つ当たりというやつだ。
いっときの感情の昂りで、長年の関係を壊してしまうことも珍しくない。
人に当たる前に、手軽に自分の心のゴミを吐き出す方法がある。それが三行日記である。
確か本などには、ガイドラインとして3つのことを書くように提案されていたと思う。
- 今日一番の失敗を書く
- 今日一番の感動を書く
- 明日やりたいことを書く
だが、別にこれじゃなくてもいい。
毎日感じたことや考えかとこ、心の中に引っかかってモヤモヤしていること。何かあればそのまま書けばいい。
答えのない疑問、着手しない欲望、心に溜まる感情。こういったものを外部化して、客観視することで、無駄なことに使う時間もエネルギーもだいぶ減らせるのだろう。